鳴く? 鳴かない? 判断を育てる5レッスン — 第4回 / 全5回
鳴いてどんどん形が整い、あと一枚でアガれそう。そこに他家のリーチが入り、急に切れる牌がなくなる。鳴きの難しさは、手を進めるときだけでなく、途中で方針を変えたくなったときにも現れます。
公開した面子は、守備のために崩せない
通常のポン・チーを一つするごとに、打牌後の手の内は三枚ずつ短くなります。一副露なら10枚、二副露なら7枚、三副露なら4枚です。副露した面子も含めれば打牌後の構成は13枚ですが、自分が次に捨てられる候補は手の内にある牌だけになります。カンは実枚数が増えるので、ここでは除きます。
手の内が短いと、危険な牌を引いたときに「別の安全な牌を捨てて一巡しのぐ」余地が小さくなりがちです。ただし、短ければ必ず危険という意味ではありません。四枚とも安全なこともあれば、門前13枚に現物がないこともあります。枚数は自由度を見る入口であり、実際には誰に何が安全かを個別に確かめます。
例題:テンパイを続ける一枚と、安全を選ぶ一枚

図は、二三四萬・三四五筒・六七八索を副露し、手の内に五五筒・三四索が残ったテンパイです。タンヤオがあり、二索・五索を待っています。ここで他家のリーチ後に九萬を引いたとします。九萬を切ればテンパイを維持できますが、その九萬が安全とは限りません。
一方、五筒がリーチ者の現物なら、五筒を切ってテンパイを崩す選択があります。残る形は弱くなりますが、少なくともその相手へのロン放銃は避けられます。他の二人にまで安全とは限らないので、全員の河は別に見ます。図には河の全体や点差がないため、押すかオリるかの唯一の答えは出しません。「テンパイ維持」と「安全確保」が別の選択になることを読む問題です。
一度鳴いたら、最後まで押すべき?
すでに三回鳴いたことは、ここから危険牌を押す理由にはなりません。鳴く前に払った代償は戻せませんが、これから失うかもしれない点はまだ選べます。「ここまでやったから」という気持ちと、「今の手でこの危険を受け入れる価値があるか」は切り分けましょう。
自分の打点、待ちの残り枚数、相手が親か子か、点差、残り巡目で判断は変わります。同じ2,000点のテンパイでも、序盤の十分な両面待ちと、終盤でほとんど見えている待ちを同じには扱いません。オリた結果、あとでアガリ牌を引いたとしても、それだけで判断が間違いだったとは言えません。その時点で見えていなかった未来を、評価に混ぜないことが大切です。
安全牌を一枚残す、も万能ではない
鳴く前から守備用の牌を残すと、逃げ道を作れることがあります。ただし、そのために有効牌を削って手が遅くなれば、相手の先制を許しやすくなる側面もあります。「いつでも一枚キープ」が唯一の正解ではありません。現在の手が遠くて安いのか、今すぐ強いテンパイへ進めるのかで、保険に使える余裕は変わります。
最初の練習では、鳴く前に「このあとリーチが来たら、最初に何を切れそうか」を一度想像する程度で十分です。明確な安全牌がないなら、その事実を知った上で鳴く。あるいは、速度の上がり方が小さいので見送る。未来の全牌を予測する必要はなく、選択肢が狭まる方向を理解することが目的です。
振り返るのは、放銃した最後の牌だけではない

放銃すると、最後に切った牌に目が向きます。しかし、そこに至る二つ目・三つ目の鳴きも振り返ると、守備が苦しくなった理由が見えることがあります。鳴きでテンパイに進めたのか、待ちが改善したのか、ただ手の内を短くしただけだったのか。その時点の選択を見直します。
記録は「鳴いた理由」「その後に残った安全候補」「リーチを受けた時の手の価値」の三点で十分です。放銃をゼロにするための練習ではありません。押すなら何を見返りとして求めたか、オリるなら何を守ったかを説明する練習です。安全牌の見分け方そのものは、既存の守備5レッスンで補えます。
資料を読む:副露した牌と、手の内を分ける
日本プロ麻雀協会の競技規定は、副露牌を手の右側へ公開するものとして扱っています。本稿の枚数図は、ポン・チーの後に打牌した状態を、操作できる手の内と分けて表したものです。危険度や押し引きの結論を、この規定が与えているわけではありません。図の現物条件と点差などを加えて考える部分が、当サイトの学習例です。
参考資料
資料確認:2026年10月26日。資料の紹介は当サイトによる要約です。牌姿・図解・問題文は当サイトの教材で、特定団体の推奨戦術を示すものではありません。
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