同じ牌が二枚そろうと、捨てにくくなります。でも対子を全部残すと、順子を作る場所が足りなくなることも。対子は『必ず守る二枚』ではなく、雀頭、刻子、七対子という複数の未来を持つ候補として見てみましょう。
連載:手牌を育てる、5つのレッスン / 第3回
この回でできるようになること
対子の数だけでなく、その牌が何の役割を担えるかを見る。
ここでは日本の四人打ちリーチ麻雀を想定します。萬・筒・索は牌の種類を表します。比較例で省略している条件は、それぞれの例に記しています。
雀頭は一組、候補は途中で変わる
普通のアガリ形では雀頭は一組です。だからといって配牌の段階で一つに固定すると、後からよい対子ができたときに柔軟に動けません。二つの対子があれば、一方を刻子へ育て、もう一方を雀頭にする道もあります。
たとえば55萬と88筒があり、5萬が二枚すべて場に見えているなら、55萬を刻子にする牌は残っていません。雀頭としては使えますが、刻子候補としては役割が違います。『対子が二つ』という数だけではなく、残りの牌と周囲のつながりを見ます。

対子の隣にある牌も見る
445萬は44の対子と5の孤立牌とも、45の順子候補と4の余剰牌とも見えます。4萬、3萬、6萬などが来たときの使い方を一度並べると、単純な対子だけの形より柔軟だと分かります。ただし最善の切り方は、ほかの三面子候補と雀頭の有無によって変わります。
対子を一枚外すときは、外した後に残る形を必ず読みます。『対子は三組あるから一組壊す』を機械的に行うと、役牌のポンやドラの活用などの価値を落とすことがあります。形だけ、役だけ、と視点を分けて確認しましょう。
七対子との分岐を考える
対子が増えたら七対子も候補です。ただし七対子では同じ牌四枚を二組の対子として数えません。順子が育ちやすい配牌と、数牌が離れて対子ばかりある配牌では、普通の形に向かう速さが違います。対子の数だけで決めず、両方の向聴数を比べます。
方針を決めても、新しいツモで再評価できます。七対子を選んだ後に順子ができたから必ず戻るわけでも、最初に決めたから最後まで守るわけでもありません。目標は決断を早くすることではなく、何が変わったら方針を変えるのかを知ることです。
対子を見つけたら、役割を仮置きする
普通の完成形は四面子と一雀頭です。対子は頭になれる一方、同じ牌を引いて刻子にもなれます。二つの対子があるときは「片方が面子になり、片方が頭になる」という道が残ります。最初に一つを頭として絶対に固定すると、もう一方が先に育ったときに見直しにくくなります。
対子が三つあるから一つは必ず不要、とも言い切れません。周囲の数牌とつながっている対子なら、順子を作る役割も持てます。たとえば445萬は、44萬の対子に5萬が一枚という見方と、45萬の両面に4萬が一枚という見方があります。頭が足りない手と、すでに別の頭がある手では、同じ445萬でも注目する役割が変わります。
対子を数えた後に、その対子がほかの牌とつながっているかを一度見てください。字牌の対子と、445萬の中の44萬は、同じ「対子一つ」でも広がり方が違います。数だけで不要な組を決めず、形に戻って確認するのが今回の出発点です。
445萬を実際に動かしてみる
445萬に3萬を加えると、3445萬になります。345萬の順子を取り出す見方もあれば、44萬を頭候補にして35萬を残す見方もあります。どちらを採るかは手の残りに左右されます。四枚の部分だけで、手全体の正解を一つに決めないでください。
6萬を引いた4465萬は並べ替えると4456萬です。456萬の順子と4萬一枚に分けられますし、44萬と56萬という二つの候補としても見られます。頭がない手なら、後者の見方に意味が生まれます。見た目が似ていても、「面子がほしいのか、頭がほしいのか」で残したい役割が変わります。
4萬を引けば4445萬となり、刻子の444萬が見えます。5萬を引けば4455萬となり、二つの対子になります。すべてのツモを同じように喜ぶのではなく、必要な役割を埋めたかどうかで比べてみます。このように一枚ずつ仮に加え、元へ戻す練習をすると、複合形を単純な形へ切り分けすぎる癖に気づけます。
七対子へ向かうときは、別の完成図を描く
七対子は七種類の対子をそろえる役です。普通の四面子一雀頭とは完成図が違います。対子が多い配牌を見たら、まず普通の手としてどのくらい進んでいるかを考え、次に七対子として対子が何種類あるかを数えます。二つの目盛りを並べるイメージで、一方だけを最初から消さないようにします。
同じ牌を四枚持っていても、それを七対子の二組とは数えません。たとえば白白白白は、白という一種類の牌です。七対子の完成に必要な「種類」を増やすことと、同じ種類の枚数を増やすことは別です。対子が多くて見た目がそろっていても、種類の数を確認すると、思ったより完成まで遠いことがあります。
ポンをすると普通の鳴いた手として進みますが、七対子の道はなくなります。だから鳴く直前には、今ある対子の多さだけでなく、鳴いた後に何の役でアガるのかを一言で説明してみてください。「ポンできるからポン」から「この役で、こう完成させたいからポン」へ変わると、選択の意味が明確になります。
頭を残すために、よい形を壊していないか
一つの対子を大切にしすぎると、周囲の順子候補を先に壊してしまうことがあります。反対に、すべてを面子にしようとして頭候補をなくすこともあります。どちらも、対子単体の価値だけを見て、手全体で足りない役割を忘れたときに起こります。迷ったら「今の頭候補はどこか」「そこが面子になったら代わりはあるか」と問い直してみましょう。
役牌の対子なら、ポンして役を確保する可能性があります。数牌の対子なら、周辺の牌と順子へ育つことがあります。さらに同じ牌が河に多く見えていれば、刻子にするための残り枚数も変わります。これらは比較の材料であり、どれか一つで常に優先順位が決まるものではありません。
今日の復習は、過去の一局で対子が三つあった場面を探すことです。それぞれに「頭候補」「刻子候補」「順子にも使える」とメモしてみましょう。一つの対子に二つのラベルがついても構いません。その後のツモでどの役割が実現したかを追うと、結果だけでは分からなかった手の可能性が見えてきます。
もう一問:七対子に見える手を数え直す
11萬・44萬・77筒・22索・55索・東・白・中という13枚を考えます。対子は11萬、44萬、77筒、22索、55索の五種類。東、白、中はそれぞれ一枚です。この例では、同じ牌が二枚そろっている場所を数えることと、残りの種類を確かめることが最初の作業になります。
東を引けば、東東が六つ目の対子になります。手は14枚になっているので、白か中のどちらかを捨て、残した一枚を重ねれば七対子が完成する形です。これは七対子のテンパイになった状態です。白と中のどちらを待ちにするかは、見えている枚数や河、相手の状況などを比較する問題になります。ここでは単にどちらかが正解とは決めません。
では1萬を引いたらどうでしょう。111萬という刻子はできますが、七対子の対子の種類は五つのままです。新しい六種類目の対子が増えたわけではありません。普通の手なら刻子は面子として使えます。つまり同じツモでも、七対子の目盛りと普通の手の目盛りで意味が違います。
この二つを比べると、「そろった牌が増えたから手が進んだ」とだけ考える危うさが分かります。どの完成形を目指しているかを言葉にし、その完成形で必要な部品が増えたかを確認する必要があります。対子が多い手を見たときには、この13枚の例を思い出してみてください。
なお、同じ牌を鳴いて刻子を公開すると七対子には戻れません。門前の段階なら、次のツモで普通の形と七対子を比較し続けられます。鳴くかどうかは選択肢の一つを閉じる操作でもある、と理解すると、鳴きの前に考える理由がはっきりします。役やルールの確認は出典の公式ルールも合わせて参照してください。
自分で考えてみる
問題
同じ牌を四枚持っていると、七対子の対子二組として使えますか? また、普通の形ではどう使えるでしょう。
考え方と答え
七対子の二組には数えません。普通の形では刻子と余剰牌などに分けて使える場合があり、周囲の数牌によって順子にも組み込めます。四枚あるだけでカンをする必要もありません。
出典を読む:ルールと、考え方をつなぐ
M.LEAGUE公式戦ルールの要点(要約)
普通の完成形と七対子の区別を確認しています。対子の使い道を比べる牌姿は当サイトで作成しました。
参照:M.LEAGUE「公式戦ルール」/第5章 第1条・七対子の規定。確認日:2026年10月25日。
図解・練習問題:もっといいこと制作。公式資料の文章や図版の転載ではありません。
手牌を育てる、全5回
基本を確認したいときは麻雀、ひとつずつ。全10回へ。紙の本や道具で学びたい方は麻雀の本・道具ガイドから選べます。



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