鳴く? 鳴かない? 判断を育てる5レッスン — 第3回 / 全5回
鳴けば速くなる。でも、手が安くなることもある。この言い方だけでは、どの程度の差なのかつかみにくいものです。今回は一つの完成形を使って、鳴く前後に残る役を見比べます。点数計算に慣れていなくても、まず「消えるもの」と「残るもの」が見えれば十分です。
鳴いたら一翻下がる、とは限らない
「鳴くと安くなる」を、どんな役でも一翻だけ下がると覚えてしまうと間違えます。三色同順のように食い下がる役、タンヤオや役牌のように基本の翻数が変わらない役、ピンフやリーチのように門前が条件の役があります。どの役で手を作っていたかによって、変化は大きく異なります。
また、ドラは鳴いただけでは消えません。役があることを前提に、ドラを何枚使えるかが手の価値を変えます。「鳴いたから安い」と一括りにするのではなく、役とドラを別の欄で数えましょう。役牌が一組あり、ドラも複数ある手なら、門前にこだわる理由が小さくなる場合もあります。逆に、門前役に価値が集中した手は、鳴く影響が大きくなります。
同じ14枚を、門前とチーした形で比べる

図の完成形は、二三四萬・二三四筒・二三四索・六七八索・六六筒です。六索のロンで完成し、リーチなし、ドラなし、子のアガリとします。門前ならタンヤオ一翻、三色同順二翻、ピンフ一翻の合計四翻。門前ロンの30符で、切り上げ満貫を採用しなければ7,700点です。
同じ牌の組合せでも、二三四萬をチーしていたなら、ピンフは成立せず、三色同順は一翻になります。タンヤオと合わせて二翻。通常の食いピンフ形のロンは30符として扱うので、子の2,000点です。これは一つの完成形を比較した教材で、「その前のどんな場面でもチーしてはいけない」という結論ではありません。切り上げ満貫を採用する卓では門前側の点数も変わります。
速さは、手に入る確定点ではない
門前なら7,700点、鳴けば2,000点と分かると、門前が常に良く見えるかもしれません。しかし、門前のままではテンパイまで遠かったり、必要な牌が残っていなかったりすることもあります。高い完成形があることと、その完成形でアガれる見込みが高いことは別です。鳴いて今テンパイできるなら、低い点数でも選ぶ理由になります。
反対に、鳴いてもテンパイにならず、残る待ちも苦しいなら、手放す価値の方が大きい場合があります。比較するのは点数だけでなく、鳴いた後の向聴数、有効牌の見え方、巡目、他家の攻撃、現在の点差です。本稿はそのうち「点数差」を見えるようにする回であり、和了率を測った統計から一律の正解を出すものではありません。
リーチの一翻だけを引き算しない
門前で進めると、テンパイ後にリーチを選べる余地があります。鳴けば、その選択肢がなくなります。ただし、最初から手にリーチ一翻が付いているわけではありません。リーチには宣言と1,000点の供託が必要で、その後の打牌も制約されます。「鳴かなければ必ずリーチで得をする」とも言い切れません。
一発や裏ドラがあるルールでは、それらの可能性も門前リーチに関わりますが、まだ起きていない加点を確定の点数に混ぜないようにします。図の比較でリーチを付けていないのは、そのためです。まず現在の役で何点かを把握し、リーチを選ぶ場合の上積みやリスクを別に考えると、見積もりがぶれにくくなります。
練習:得点欄を二列にする

鳴きを迷った局を一つ選び、「門前で完成したとき」と「鳴いたあと」の役を書き分けてください。残る役、消える役、翻数が変わる役に線を引きます。点数がまだ出せなくても、どこで差が生まれたかが説明できれば十分な成果です。
次に「その差を払ってでも、どれだけ前進できたか」を一行添えます。テンパイに進む、悪い形を解消する、残り一枚の役牌を確保する、といった具体的な理由です。「速そうだった」だけで終えず、何が変わったかを言葉にすると、次の局にも使える判断になります。点数の読み方は、別特集「点数が見えると、作戦が変わる」でも順に扱います。
資料を読む:役一覧は、鳴く前後を比べる道具
Maru-Janの役一覧では、ピンフの門前条件、三色同順の食い下がりが区別されています。ここではその区別を同じ牌姿に当てはめ、差がどこから生まれるかを示しました。点数の例は、四人打ち・切り上げ満貫なし・本場供託なしで計算した当サイトの教材です。
参考資料
資料確認:2026年10月26日。資料の紹介は当サイトによる要約です。牌姿・図解・問題文は当サイトの教材で、特定団体の推奨戦術を示すものではありません。
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