『この形の方が広い』という言葉を、数字で確かめてみましょう。今回は手が一歩進む牌を数える練習です。たくさんの牌を覚えるより、同じものを重複して数えないことと、すでに見えている枚数を引くことが大切になります。
連載:手牌を育てる、5つのレッスン / 第2回
この回でできるようになること
距離、牌の種類、見えていない枚数の順に確認する。
ここでは日本の四人打ちリーチ麻雀を想定します。萬・筒・索は牌の種類を表します。比較例で省略している条件は、それぞれの例に記しています。
種類が多いことと、枚数が多いこと
45萬を順子にする牌は3萬と6萬です。他の場所にその牌が一枚も見えていなければ、最大で各四枚、合計八枚あります。46萬を順子にするのは5萬だけなので、最大四枚。これが両面とカンチャンの違いを考える最初の例です。
ただし、これは部分形だけの比較です。手全体の向聴数を下げる牌を数える『受け入れ』と、その二枚を面子にする牌は、複雑な手では一致しないことがあります。完成済みの面子や対子との関係を無視して、八枚だから常に正解と決めないようにします。

見えた牌を引いてみる
自分が持つ牌、捨て牌、副露、ドラ表示牌など、見えている同じ牌を四枚から引きます。45萬に対して3萬が場に二枚、6萬が自分の別の部分に一枚あれば、見えていないのは3萬二枚と6萬三枚、合計五枚です。赤5萬も通常の5萬と合わせて四枚として扱います。
見えていない五枚が、全部山に残っているとは限りません。他家の手牌や王牌にある可能性もあります。ここで求めた数字は『自分から見えていない枚数』です。山の中身を知ったことにはならず、そのままツモ確率やアガリ率とは呼べません。
先に距離をそろえて比較する
テンパイになる切り方と、一向聴のままで受け入れが広い切り方を、枚数だけで比べると判断がねじれます。まずアガリまでの距離を確認し、同じ距離の選択肢で受け入れを比べるのが基本の練習です。手変わりや打点を重視して距離を戻す場合は、その理由を別に説明します。
数えるときは牌の名前を先に列挙し、あとで残り枚数を添えます。一つの牌が二通りの形を作れるからといって二回数えません。紙の上で三つの候補を比較し、最後に実戦の速度へ近づけると、暗算だけで始めるより間違いを見つけやすくなります。
受け入れを数える前に、距離をそろえる
何を切るかを比べるときは、まず同じアガリまでの距離を保てる候補を並べます。ここで使うシャンテン数は、テンパイまでに必要な手の進展を数える指標です。テンパイがゼロ、その一段階前が一シャンテンです。局面によっては形をよくするために距離を戻す選択もありますが、初心者の練習では「距離が変わる打牌」と「同じ距離で広さを比べる打牌」を混ぜない方が整理しやすくなります。
受け入れは、特定の打牌の後に手が前進するツモ牌を数える言葉として使われます。一方、形をよくするだけでシャンテン数が変わらないツモもあります。たとえばカンチャンが両面へ変わることはうれしい変化ですが、それが必ず今のシャンテン数を一つ下げるとは限りません。「すぐ進む牌」と「次に進みやすくする牌」を分けると、数字の意味がはっきりします。
この記事の45萬と46萬の比較は、二枚の形が順子に完成する牌を比べる局所的な例です。手全体の受け入れや最善打を計算したものではありません。別の場所に3萬や5萬がある場合には役割が重なり、数え方も変わります。部分の練習で覚えたことを、13枚全体で確かめ直すという順番で使ってください。
8枚と4枚は、実際に山に残る枚数ではない
45萬を順子にする牌は3萬と6萬の二種類です。各牌は四枚あるので、見えているものを考えない上限は合計八枚になります。46萬なら5萬の一種類で上限四枚。この比較で、両面はカンチャンより完成牌の種類が多いと分かります。ただし、八枚すべてが今後自分にツモれるという意味ではありません。
たとえば3萬が河に二枚、6萬が他家の副露に一枚見えていて、自分の別の部分にはその牌がないとします。見えていない枚数は3萬が二枚、6萬が三枚で合計五枚です。その五枚も、他家の手牌や王牌にあるかもしれません。見えていない数を、そのまま生きた山の枚数や自分のアガリ確率に変換することはできません。
数える場所は、全員の河、副露、自分の手牌、ドラ表示牌など、公開されている情報と自分に分かる情報です。鳴かれた牌は河から副露へ移っているので、同じ一枚を二度数えないようにします。オンライン画面の見え方はサービスによって違いますが、「牌そのものは一枚」という原則は変わりません。
同じ牌を二つの理由で、二度数えない
手の中に複合した形があると、一枚のツモが複数の場所に使えそうに見えます。3456萬に3萬を引けば、33萬の対子と456萬として使う見方ができます。一方で順子の周辺としても考えられます。しかし、実際に引く3萬は一枚です。頭ができる分と順子に関わる分を別々に加算すると、受け入れを過大に数えてしまいます。
迷ったら、候補となる牌を数字のリストにして重複を消します。次に、それぞれを引いた後の形を実際に作り、手が前進するかを一つずつ確かめます。「何となく受け入れが広い」から「3萬、6萬、白が必要」と具体的な牌名に変わると、見えている枚数も確認しやすくなります。
ツモった後の捨て牌まで考えることも重要です。入った牌だけ見て手がよくなったように感じても、そこから一枚捨てて13枚に戻します。14枚のまま二つの使い道を同時に残したつもりになると、実際には成立しない形を評価してしまいます。練習用の牌や紙を使うときも、最後に必ず枚数を数え直しましょう。
広さの次は、テンパイしたときの形を見る
受け入れ枚数が同じでも、どんなテンパイになるかは違います。両面待ちに育ちやすい候補と、単騎やカンチャンに固定されやすい候補を比べる場面があります。そこで初めて、今の一手だけではなく次の形も見ます。順序を逆にして遠い理想ばかり追うと、手が前進する機会を逃しやすくなります。
役や打点も別の軸です。広い方を選ぶと役が消えるなら、そのままロンできるとは限りません。鳴いている手では特に、何の役でアガるつもりなのかを確かめます。また相手がリーチをしているときは、受け入れが数枚多いことだけで危険牌を押す理由にはなりません。速度の比較を、守備や点数の判断と取り違えないことが大切です。
一局振り返るときは、選んだ打牌と、もう一つ迷った打牌だけを比較してみましょう。距離、進む牌の種類、見えていない枚数、テンパイ後の形の四行をメモします。すべての打牌候補を完璧に計算しようとするより、一つの迷いを具体的に説明できるようにする方が、次の対局で使える練習になります。
もう一問:広かった形が、いつも広いとは限らない
二枚の形だけを比べる練習です。Aは45萬、Bは46萬とします。Aを完成させる3萬がすでに三枚、6萬も三枚見えています。Bを完成させる5萬は、自分の手以外にも場にも見えていないという仮定です。AとBは別々の仮想例として考え、同時に一つの手に持っている設定ではありません。
Aの完成牌は、見えていない3萬が一枚と6萬が一枚で計二枚です。Bは5萬が四枚見えていません。形の名前だけならAが両面でBがカンチャンですが、この条件での見えていない完成牌はBの方が多くなります。「両面は最大八枚」という知識と、「今見えていない枚数は二枚」という観察を両方使う練習です。
ただし、この比較から手全体でBを残すべきだとは言えません。別の部分との重なり、役、打点、手変わり、危険度を省いているからです。また、見えていない四枚の5萬のうち何枚が山に残るかも分かりません。部分比較が答えている質問をはっきりさせると、数字を必要以上に大きな結論へ使わずに済みます。
次は見えている3萬を一枚、6萬をゼロ枚に変えてみましょう。Aは3萬が三枚、6萬が四枚の計七枚が見えていない計算になります。同じ45萬でも、公開情報によって評価材料が変わりました。このように条件を少しずつ動かすと、両面という名前を覚えるだけより、数える意味が分かります。
実戦で毎巡すべてを数えるのが難しいなら、迷った二つの候補に関係する牌から確認します。大事なのは、数字を暗記して即断することより、手元の形と場の情報を結び付ける習慣です。対局後なら時間を気にせず数え直せるので、まずは牌譜で二つの候補を比べるところから始めても構いません。
自分で考えてみる
問題
45筒を順子にしたい。3筒が二枚、6筒が一枚、手牌以外の見える場所にあります。この部分形を完成させる未見枚数は?
考え方と答え
3筒は二枚、6筒は三枚で計五枚です。ほかの自分の手牌に3筒・6筒がない条件です。五枚全部が山にあると断定することはできません。
出典を読む:ルールと、考え方をつなぐ
M.LEAGUE公式戦ルールの要点(要約)
同じ種類の牌が四枚あることを、完成牌の上限を数える前提にしています。残り枚数の例は当サイトで条件を置いて計算しています。
参照:M.LEAGUE「公式戦ルール」/第1章 第2条 用具。確認日:2026年10月25日。
図解・練習問題:もっといいこと制作。公式資料の文章や図版の転載ではありません。
手牌を育てる、全5回
→ 第2回:何を切るか迷ったら、受け入れを種類と枚数で比べる
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