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地球の中は、なぜ今も熱いの? 46億年続く熱の行方

地熱で湯気が立つ風景を描いたAI生成イメージ。特定の温泉や観測地点ではありません。 大人の「なぜ?」を楽しむ
AI生成のイメージ画像。
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温泉の湯気や火山の噴火を見ると、地球の中が熱いことを実感します。けれど、地球が生まれたのは約46億年前。熱い飲み物だって放っておけば冷めるのに、どうして地球の熱はまだ残っているのでしょう。

答えは、一つの巨大な火が燃え続けているからではありません。できたときの熱がまだ残っていること、内部で今も熱が生まれていること、そして巨大な地球は簡単には冷めないことが重なっています。しかも、その中身は全部が溶けたマグマでもありません。

地球を、ゆっくり熱を失いながら、内側でも熱を生み出している天体として見直してみましょう。温泉から地震の観測、地下を通り抜ける小さな粒子まで、内部を知る手がかりがつながります。

1.地球は、できるときに熱くなった

初期の太陽系で物質が集まり、衝突し、現在の地球につながる天体が成長しました。衝突する物体の運動のエネルギーは、熱などへ変わります。大きくなる過程では、重い金属が内側へ沈んで核を作ることでも、重力による位置エネルギーが解放されました。

つまり、地球は最初から穏やかな室温の球だったのではありません。激しい形成の過程で熱を得て、内部の構造が分かれていった天体です。そのときに蓄えた熱の一部が、現在も残っています。

「昔の熱」といっても、昔の炎を密閉して保存しているわけではありません。物質が持つ内部エネルギーが、長い時間をかけて少しずつ外へ運ばれているということです。地球の熱史は、何が熱を与え、どれだけ外へ逃げてきたかという収支の歴史でもあります。

2.今も熱を作る、放射性元素の壊変

岩石には、ウラン、トリウム、カリウムなどの放射性同位体が含まれています。それらが別の原子核へ変わる放射性壊変の過程で出るエネルギーの一部が、周囲の物質に受け渡され、熱になります。

これは、地下で薪が燃えているという意味ではありません。燃焼のように酸素と物質が反応する現象とも違います。自然に存在する原子核の変化が、岩石の中に分散して起きています。これらの熱源は主に岩石質の地殻やマントルを考えるうえで重要で、地球の中心に巨大な原子炉があるという説明は必要ありません。

長い半減期を持つ同位体があるため、地球が古くなった今も熱の供給が続いています。ただし、同じ速さで永久に供給できるわけではありません。放射性同位体の量や組み合わせは時間とともに変わり、地球の冷え方にも関わります。

地球の形成時に蓄えた熱、放射性壊変による熱、内核が固まる際の潜熱などと、表面へ流れ出る熱の関係。
図解:もっといいこと編集部作成。箱や矢印の大きさは各熱源の割合を示しません。潜熱は冷却・固化の過程で放出されるエネルギーであり、永久に加わる独立した燃料ではありません。

出典の要約|昔の熱と、今も生じる熱

USGSは、地球形成時に得た熱と、内部の放射性元素の壊変による熱を挙げています。熱が深い場所から運ばれることと、マグマが生まれる場所は同じではありません。地下の高温を、どこでも液体のマグマがあることと混同しないための解説です。

USGS・Hawaiian Volcano Observatory(2001年6月14日):Volcano Watch — Heat is deep and magma is shallow in a hot-spot system

3.熱いお茶と違って、地球は大きすぎる

大きな物体ほど、内部の体積に比べて外へ熱を出す表面の割合が小さくなります。同じ形で大きさを変えると、表面積は長さの2乗、体積は3乗に比例するためです。もちろん、これだけで地球が冷える年数を計算できるわけではありませんが、日常の小さな物と同じ感覚では考えられない理由の一つです。

地球の内部から表面へ熱が届くには、物質の中を熱が伝わる熱伝導や、物質のゆっくりした動きによる熱輸送などが関わります。表面の岩石が、内部と外側の間を隔てていることも効きます。中心の熱が、そのまま一瞬で宇宙へ放射されるわけではありません。

とはいえ、地球は完全な魔法瓶でもありません。熱は実際に外へ流れ続けています。内部の熱の量が多く、運び出す仕組みには時間がかかり、その途中でも新しい熱が加わる。この組み合わせで、今の熱い内部が保たれています。

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4.マントルは、ほとんどが固体なのに動く

地球の断面図に赤や橙が使われていると、地下はすべてどろどろしたマグマの海に見えるかもしれません。でも、地殻の下に広がるマントルの大部分は固体の岩石です。固体であることと、何億年もの時間で変形しないことは同じではありません。

短い時間では硬い物として振る舞いながら、非常に長い時間ではゆっくり変形し、物質が移動できます。マントルの対流は、そうした地質学的な時間の動きです。鍋の湯のような速い循環を、そのまま地下に思い描くと誤解につながります。

マグマは、条件が整った場所で岩石の一部が溶けて生まれます。地下のどこにでも、空洞いっぱいのマグマが待ち構えているわけではありません。一方、さらに深い外核は液体の金属で、中心側の内核は固体です。温度だけでなく、大きな圧力も物質の状態を左右します。

地殻、主に固体の岩石でできたマントル、液体金属の外核、固体金属の内核を色分けした地球断面の模式図。
図解:もっといいこと編集部作成。地殻は見やすさのため厚く描いています。各層の厚さは正確な縮尺ではなく、色は説明用で、実際に見た色や温度測定値を表していません。

出典の要約|プレートの下は、マグマの海ではない

USGSは、マントルの大部分が固体であり、長い時間ではゆっくり変形して動くことを説明しています。地震波の伝わり方も内部の状態を知る手がかりです。固体であることと、地質学的な時間にわたって流れるように動くことは両立します。

USGS:Are the tectonic plates floating on magma?

5.固まるときにも熱が出る、内核の成長

液体の物質が固体になるときには、潜熱が放出されます。身近な水が凍る過程にも関わる現象で、冷える途中の物質から熱が出ること自体は矛盾ではありません。

地球の内核が成長する過程も、核の熱やエネルギーの収支に関わります。さらに、固まる際の成分の分かれ方は、液体の外核の運動に影響します。外核の導電性の液体金属の流れは、地球の磁場を考えるうえでも重要です。

ただし、潜熱は何もないところから際限なく生まれる熱ではありません。地球が冷え、内部の状態が変わる過程に含まれるエネルギーです。「冷めているのだから、内部では何も起きていない」というイメージより、冷めること自体が動きや変化を伴う、と考える方が実態に近づきます。

6.地下を掘り抜かなくても、熱の手がかりは測れる

地表では、地中の温度の変化や岩石の熱の伝わりやすさなどから、外へ出てくる熱を調べられます。2024年の研究解説では、地球全体の表面熱流量は約47±2テラワットとされています。これは地球に蓄えられた熱の総量ではなく、単位時間あたりに外へ流れるエネルギーの大きさです。

では、そのうちどれだけが放射性壊変によるものなのでしょう。ここで役立つのが、地球内部の壊変で生じる反ニュートリノです。物質を通り抜けやすいため検出は難しいのですが、地下の観測装置で起きるまれな反応を通じて、内部の熱源を探ることができます。

日本のカムランドは、ウランやトリウムに由来する地球反ニュートリノを観測してきました。周辺の地殻の寄与や、内部に元素がどう分布しているかといったモデルも使って、熱源の量を検討します。観測した数を、そのまま地球全体の熱の割合に置き換えられるわけではありません。

出典の要約|粒子の観測から、地球の熱源を絞り込む

この研究解説は、カムランドの観測と、地球内部の放射性元素の量を見積もるモデルを比較しています。観測が、熱源の多いモデルなどを検討する制約になります。ただし、内部構造や元素分布の仮定も関わるため、観測値だけで熱の内訳が一意に決まるわけではありません。

川田七海(東北大学)、日本物理学会誌79巻3号、117–122頁(2024年):カムランドによる地球ニュートリノ観測でひもとく地球熱史

「内部の熱は何割が昔の熱で、何割が放射性元素なのか」には、推定の幅があります。採用する組成や構造のモデルによっても見積もりが変わります。数字を一つ暗記するより、地表の熱の測定と粒子の観測を組み合わせて、内部の説明を絞り込んでいるところに注目するとおもしろいでしょう。

7.温泉の熱と、地表の気候を動かす熱は分けて考える

地下を通る水が地熱で温められると、温泉につながることがあります。火山のマグマに関係するものもありますが、すべての温泉を「すぐ下のマグマが沸かした水」と説明することはできません。地下の温度、水の通り道、地域の地質などが関わります。

地球内部の熱は、地熱発電などで利用できる大切な資源です。ただし、ある場所から取り出せる熱や熱水の供給には条件があり、取り出す速さと補われる速さは別です。地球全体に熱が大量にあることは、どの井戸からも無制限に取り出せることを意味しません。

また、地表の気候を考えるときの主なエネルギーの入口は太陽です。内部が高温だから最近の温暖化が起きている、という説明にはなりません。地下の熱、太陽から届くエネルギー、大気が熱の出入りに与える作用は、それぞれの大きさと働く場所を区別する必要があります。

8.地球は、冷えながら活動している

地球の中が熱いのは、「46億年間まったく冷めていない」からではありません。形成時の熱が残り、放射性壊変などが熱を供給し、巨大な天体から熱がゆっくり失われているからです。冷える過程にも、内核の成長や内部の動きが伴います。

これからの内部の変化を予測するには、熱源の量や熱の運ばれ方を知る必要があります。何年後に全部が止まる、と簡単には言えません。温泉の湯気の向こうには、今も研究が続く、長い地球の歴史があります。

材料の来歴をさらにさかのぼるなら、金は宇宙のどこで作られたのかへ。地球にある水の歴史は、太陽より古い水の話ともつながります。

参考資料と画像について

本文の囲みは、資料の内容を本記事向けに要約したものです。原文の転載ではありません。以下は、本文で紹介した資料に加えて参照した背景資料です。

米国国立公園局「Inner Earth Model」:地殻、マントル、核の組成と状態の解説。

アイキャッチ画像はAI生成のイメージです。説明用の図解は本記事用に作成し、観測画像には個別に出典とクレジットを付けています。資料確認日:2026年10月25日。

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